アントニオ・ロペス・ガルシアビクトル・エリセ『マルメロの陽光』アントニオ・ロペス・ガルシア (LOPEZ GARCIA, Antonio, Victor Erice) ●マルメロの陽光● EL SOL DEL MEMBRILLO 1992/139分/スペイン/フランス映画社 監督・原案・脚本:ビクトル・エリセ 原案:ビクトル・エリセ/アントニオ・ロペス=ガルシア 撮影:ハヴィエル・アグィレサローベ/アンヘル=ルイス・フェルナンデス 音楽:パスカル・ゲーニュ 出演:アントニオ・ロペス=ガルシア/マリア・ロペス/カルメン・ロペス/マリア・モレノ/エンリケ・グラン/ホセ・カルテロ <カンヌ国際映画祭審査員賞・国際映画批評家協会賞/シカゴ国際映画祭グランプリ・ゴールド・ヒューゴー賞> ●・・・自分の庭でマルメロを描く画家アントニオ・ロペスの、これはドキュメンタリーでありながら、どんなスペクタクル映画よりも豊かなファンタジーとイマジネーションと自由な呼吸が息吹いている。・・・(ダニエル・エイマン/仏・ルモンド紙) ●つつましいカメラワークで生み出した、驚くほど魅惑的で密度の濃い作品。精魂を込めたこの作品の純粋さ、そしてゆとりの大きさは、一切の媚びを感じさせないスタイルとあいまって実に貴重だ。(ジャネット・マスリン/米・ニューヨーク・タイムズ紙) 「一本の樹に森羅万象が集約されている」アントニオ・ロペス・ガルシア アントニオ・ロペス・ガルシアは彼が深く親しみを感じた同じテーマに後戻りし続ける作家である。彼の絵や像は継続して彼の生活や彼の関係者たちを表す。その関係者というのは、祖父母(これは黄色く変色した写真から)、死んでしまった妹、叔父や友人、絵描きのフランシスコ・カレテロ、妻や二人の娘などである。即ち、描く対象との直接的な感動に基づいた描写態度によって、同一作品を十年を越えて描くことが多く、非常に作品が少ない。 マルメロは柑橘系に見えるが、花梨(カリン)と同じくバラ科の落葉果樹。 この映画の製作は途中で製作費が尽き、フィルムが手に入れられなくなり、制作の続くアントニオやマルメロの木を撮り続けるために、やむなくビデオで撮った画面が挿入されています。 ”秋が来る度に、釣竿を持って、木のそばに座る。いくら手を尽くしても、魚はかからない。それでいい、要は、そこにいることなんだよ” 木々の間に両親と私ー。他の人も一緒にいる。語らいの声がー談笑が聞こえてくる。私たちの足はぬかるみに埋まっている。果実は枝についたまま、刻々、しわがより、軟らかくなっている。やがて表皮にしみが広がり、動かぬ空気に醗酵した香りが漂う。私に見えているものを他の人も見てるのだろうか。マルメロの実がー光のもとで熟れて腐っていく。その光は、鮮烈なのに陰を帯び、すべてを鉱物と灰に変える光。それは夜の光でもなく・・・・黄昏の光でもない。夜明けの光でもない。” (アントニオのモノローグ) レアリスモ(スペインで展開した写実主義)の代表的画家の一人アントニオ・ロペス・ガルシアの画集です(英文翻訳)。50を超える油彩画、素描、彫刻の図版(8割以上がカラー)が掲載されています。日本未発売ですのでごく一部をご紹介いたします。 ■アントニオ・ロペス・ガルシア /LOPEZ GARCIA, Antonio (1936年~) |